賃貸物件でよく『1ヶ月間フリーレント』など一定期間無料で入居を促進している
物件があります。
かつて貸し手市場だった頃には想像もつかなかった慣習ですが、今では借り手
市場の中で「なんとか借りてくれませんか」という大家の熱いラブコールみたいな
感じがします。
貸手の入居者獲得のための利益提供のステップとして…
1.一時金(礼金)を少なくする、または無くす
2.フリーレントを設ける
3.賃料を減額する
以上のような順番になるようです。
3.のように賃料を減額することが最終兵器になります。
なぜなら減額してしまうと毎月継続して入ってくる収入が減るからです。
礼金などの一時金はボーナスみたいなもので、最悪ボーナスはなくても毎月の
収入は減らしたくないというのと同じようなものです。
金融機関から資金調達している場合は、毎月の収入が減る事によって返済計画が
狂い指摘を受けることも考えられます。
それ以上に一番大きな要因は、賃料を減額することによって、その不動産そのものの価値が
下がってしまうということです。
収益不動産はそこから得られる収益、すなわち賃料を基準に価値が決まりますので、賃料を
減額=不動産価値が減少することになるのです。
したがって不動産の価値に直接影響しない(厳密に言うと
影響しますが…)一時金の減額やフリーレントによって何とか
入居者を獲得し、できれば賃料は下げたくないという順番に
なります。
借り手から見ると“フリーレント”は非常に魅力があるように感
じますが、貸し手側から見ると必死に入居者を獲得する為の
現れなのかと思うと一層借り手市場の流れが広がっているこ
とを感じさせられます。