不動産の取引にとって欠かせないのがいわゆる登記簿。
簡単にいうと、その地所の所有者が誰で、どういう状況でどういう形で所有しているのかがわかる書類です。それぞれ管轄の法務局で一通700円で誰でもが取得できます。
私も初めてこの書類に触れたころ、どこに「登記簿」と書いてあるか探してみましたが、どこにもありません。
「全部事項証明書」とあるだけ。
そう、「登記簿」とは役所のどこか奥にある記憶媒体「磁気ディスクの内容」そのもので、私たちが「登記簿謄本」と呼んでいるのは、そのディスクから知りたい特定の所在の情報を抜きだした写しで、その「全部事項証明書」のことです。
ただ、不動産業界でも司法書士も、それを端折って「謄本」と呼でいます。
先に簡単に書きましたが、その証明書は「表題部」と「権利部」に分かれていて、権利部は、所有権に関する登記を行う「甲区」と呼ばれ、所有権以外の権利に関する登記を示す「乙区」に分かれています。
具体的には…
「甲区」は、共同所有者がいるかどうかについて書かれていて、
「乙区」は、主に抵当権がついているか、どこが抵当権を持っているかがわかります。
登記簿というくらいですから、その地所が初めて登記されてからの履歴がわかる資料なのですが、コンピュータ化にともない、ある一定期間からの履歴しか書かれないことになりました。
それより昔のことを知りたい場合は、紙で綴じられている「閉鎖登記簿」という冊子を見せてもらうことになります。
元は大きな土地で、そこからどんどん分割されて(分筆(ぶんぴつ))いった様子もわかります。
その証明書の申請のときに、私たちが使っている「住所」と、登記で登録する「地番」とは全く違うことに驚かれるかたも多いですね。
あと、閉鎖謄本くらいになると、古いものは単位が「㎡」でなかったりします。
「畝(せ)」とか「反(たん)」とか…昔の地名から変わっていたりとか…なかなか興味深い資料です。
もし取得はしたものの、書いてある意味がわからない…というようなことがあれば、気軽にご相談ください。わかる範囲でお答えします。