マンション(区分所有)における小規模滅失とは、建物価格の
ことをいいます。
逆に大規模滅失とは、建物価格の2分の1以上に相当する
部分が滅失することをいいます。
それぞれの復旧について、区分所有法の考え方が違ってきます。
専有部分の損害については、区分所有法および民法によれ
ば、各区分所有者が専有部分を単独で所有しているので、
原則的には区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)
専有部分の復旧を行なうことができるのであるが、現実的には
管理規約の定めにより、専有部分を復旧するには理事長の承認
等の手続きを必要としているケースがほとんどです。
なお専有部分の復旧工事にかかる費用は、その専有部分の区分所有者の自己負担となります。
次に、共用部分の損害については、「小規模滅失」と「大規模滅失」により取扱いが異なります。
1. 小規模滅失の場合
小規模滅失の場合には、区分所有法の規定によれば、それぞれの区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)、損害を受けた共用部分を復旧することができます。
しかし実際には、管理組合の集会の普通決議を経ることがほとんどです。
共用部分の復旧工事にかかる費用は、共用部分の持分割合に応じて区分所有者全員が費用を分担するようになります。
2.大規模滅失の場合
この場合には、復旧を行なうためには、区分所有者の集会の特別決議(区分所有者数の4分の3以上および議決権の各4分の3以上の賛成)により可決した場合にのみ、共用部分の復旧を行なうことができます。
このように大規模滅失については、復旧にかかる費用が巨額であること、建物自体の建替えも検討する必要があること等により、特別多数の賛成が要件とされています。
なお、大規模滅失における復旧決議に賛成しなかった区分所有者は、復旧決議に賛成した区分所有者に対して、自己の所有する建物および敷地に関する権利を、時価で買い取るように請求することができます。
これは復旧に参加する意思のない区分所有者が、速やかに区分所有建物の権利関係から離脱できるように配慮した規定です。
なお、「小規模滅失」および「大規模滅失」のどちらについても、集会における区分所有者数の5分の4以上および議決権の5分の4以上の賛成により、区分所有建物の「建替え決議」を可決して、建物全部を建て替えることも可能になります。
一般の方であればマンション購入の際、このような説明は受けないですし、よっぽどのことがなければ小規模滅失ですら起こることは稀なのでこのような法律があることもご存じないかと思いますが、またいつ大地震が起きるか分かりません。現在マンションに居住されている方はこのような法律があることを知って頂ければと思います。