私はどうも好きじゃないのがシェア・ハウス。
最近はそれ用の建物を建てる人もいるようですが、大きめの一軒家や寮を改造してシェア・ハウスにして貸すケースもあります。
シェア・ハウスはアパートと違い、居室はそれぞれ鍵が閉まるように出来ていますが、リビングやキッチンは1つ。
シェアしているルームメイトと共同で使います。
私が一時住んでいたニュージーランドではとても一般的な住み方の一つでした。
留学生が多い土地がら、西洋東洋中近東…いろいろな文化が交じりあい、普段なら絶対交流がない国の人と友達になれたりするものです。
余談ですけど、当時、そこで感じたのが日本人の優秀さです。
私が住んでいたアパートの大家さんがよく言っていました。
どうせなら全員日本人に貸したいって。
西洋人(あえて国名は書きませんが)は部屋を汚すし、アジア人(あえて国名は書きませんが)はキッチンを致命的に汚くする、と怒っていたっけ。
気持はわかりますけど、それじゃ、異文化交流を楽しみにしている日本人の学生さんはつまらない…ですよね?
最近は不景気のあおりでしょう、日本でもシェア・ハウスが人気だそうです。
自分の部屋に、個別にバス・トイレ・洗面所、キッチンがついているアパートより安くあがります。
でも、異文化と交るということは、常識が通用しないということと等しく、
「普通ならこれくらいは…」と思っていることがことごとく破壊されます。
常識が通用しないことから生まれるいざこざは星の数ほどあるそうです。
日本で賃貸アパートに住む場合、事前に大家さんと交わす契約書にこういう語句が出てきます。
「通常の使用において…」
「善良な管理者の注意義務において…」
ここでいう「通常」や「善良な管理」あたりが、もし裁判になったら問題です。
「私の国ではこれが通常です…」と言い張られたら…厄介ですよね~。
そんなかんだで、もしあなたがシェア・ハウスの大家さんになったとしたら、こういうゴタゴタの仲裁をしなくてはならなくなります。
仲介業者がなんとかしてくれる?
いいえ、仲介業者は「こういうことになってますが、大家さん、どうしますか?」と電話してくるでしょう。
私がもう一つ心配するのは、建築の構造上の問題です。
アパートやマンションは、小規模のものを除き「特殊建築」という法的な扱いになって、
建築するときには避難用の通路を確保しなければならない等、決まりがいろいろあります。
でも、一戸建てを改造してシェア・ハウスにした場合、
あくまでも一戸建てなので、共同生活者はアパートに住んでいるつもりでも、それ用の基準が満たされている訳ではないのです。
法で定められた避難通路をつくたから必ず安心かというとそうではありませんが、
もし、シェア・ハウスが不運にも火事になって、逃げ場が無かったために残念な結果にでもなったら、どうでしょう?
消防署からは、アパートのように使われていたにもかかわらず、特殊建築の要件は満たしておらず、避難上に問題がある建物だった…とか…言われそうですよね。
こういう理由から、今あるシェア・ハウスが法的に不適合な建築物になってしまう恐れもあるということです。
それでも、人気だからシェア・ハウスを経営したいというかたを私は引き留めはしませんけれど…。
話せばわかる…が通用しないことを一度でも実感されるとおわかりいただけると思います。