占有権とは,物を占有しているだけで認められる物権です。
占有権は奇妙な物権で、登記する制度もなければ原則、取得時効や消滅時効に
かかることもありません。
但し、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失えば消滅します。
それなのに占有権が物権(物を直接・排他的に支配できる権利)とされて
いるのは,社会の秩序を維持するためと位置付けられています。
物を占有している状態=事実上支配している状態を物権として保護しないと,
例えば泥棒(無権利者)が持っている盗品を盗んでも「おとがめなし」と
なってしまい、これでは社会の平穏が保てないということです。
泥棒にも占有権はあるということになります。
泥棒にもあるのが占有権だから、占有権は、自己のためにする意思で
物の所持をすれば,簡単に取得できます。
自己のためにする意思で、物の所持をすれば悪意の占有者でも占有権を取得
できるようになります。
一般常識で考えると、泥棒が盗んだ盗品でも占有権が発生するというのは
おかしな話ですが、民法上では権利が生まれるのです。
勿論、占有権が生まれるだけで所有権が発生するわけではありませんのでご注意を・・・