代理と仲介では「売主と買主との間での、立ち位置が異なる」のです。
代理人の場合、たとえば土地を売る場合なら、「土地を売りたい本人」の
代理を意味するわけです。
「土地を売りたい本人」を、仮にAさんとした場合…
「代理人」は、このAさんに「代わって(Aさんの代理として)」契約を結ぶ立場に
あり、したがって、「Aさんの利益になるような」契約が求められるわけです。
代理人の行為に対する責任は、直接、売主が負うことになるので、代理人は、売主の不利になるような
ことは出来ないのです。
一方、「仲介」とは…
「土地を売りたいAさん」の「代わりに」ではあるけれど、あくまで代理ではなく仲介である以上、「土地を
買いたいBさん」とAさんを引き合わせ、契約を成立させる…でいいのです。
立場的にも、「AさんとBさんの仲介」であるわけですから、「契約を成立させるために、フェアに間を
取り持つ」というスタンスなわけです。
「代理人」は、依頼人(たとえばAさん)サイドに立って話をします。
「媒介」は、AさんとBさんを、公正に取り持つ立場です。
だから、「代理と仲介とでは、立ち位置が異なる」ということになります。
ちなみに、ある売主の代理人を任じていたとしても、ほかの売主の代理人を引き受けることは、
理論上、可能です。
禁じられているのは、「売主の代理人と買主の代理人の両方を引き受けること(双方代理の禁止)」です。
これは、先にも述べたように、「依頼人に不利にならないように」行動しなければならないのに、売主と
買主の両方の代理人を引き受けてしまったら、あちらを立てればこちらが立たず、一種の矛盾が生じて
しまうからです。
(ただし、売主・買主の双方が了解している場合は、双方代理も認められないわけではありません。)
簡単にまとめると…
代理:本人に代わって意思表示(法律行為)を行う
媒介:他人間の法律行為を仲介する事実行為を行う
ということになります。