アパートを建設する際、限られた土地に最大の延床面積を入れるのが使命となりますが、
現在の建築基準法では、普通の住居に比べ共同住宅となると、安全面でいろいろ制約がついてきます。
そのうち一番大きな違いは「避難通路」です。
土地の面積と、建蔽率・容積率、前面道路の幅員…これだけで計算してみると1部屋25㎡とれるから高い評価となるのですが、避難通路を設けなければいけないとなると、ざっくり1部屋分削られたり…
すると利回りに大きく影響してきてしまい、アパートには適さない土地・・・になり下がってしまうことがあります。
そんな中で微妙な立ち位置だった「シェアハウス」
建築基準法にシェアハウスというくくりはなく、実状から共同住宅となりました。
すると、普通の戸建をシェアハウスとして利用しているケースでは、共同住宅に持ち合わせていなければいけない様々な要件をクリアしていかなければならなくなります。
違法なものが横行したことから、私がこのコラムで予想したとおり、規制の網がかかりました。
アパート、マンション業者から見ると、シェアハウスは微妙な存在でした。
共同住宅のようで(建築基準法での)共同住宅の要件を満たさなくてもいいとなると旨味がありますが、
そのうち(法的に)不適格になるだろう…。などと考えていました。
11月29日、 国土交通省は国および地方自治体に通報があった「違法貸しルーム」についての立ち入り調査結果、是正指導の状況を発表しました。
調査対象物件数は1,055件。
調査中の物件は480件。
建築基準法違反があった物件は489件。これは調べた数の約半数に違反が認められたという数字です。
ただ、ここからが腰砕け。
是正指導準備中121件、是正指導中366件、是正済みは2件とのこと。
すでに建物は建っている訳ですし、アパートと違い玄関はひとつ、共同キッチンに共同トイレ・・・ですので当然家賃もアパートに比べて安いはず。
そのメリットを享受している・・・きっと普通のアパートを借りることが出来ない事情を持った多くの人たちを退去させようとしても、他に行き場所がありません。
58件については閉鎖済み、もしくはほかの用途だったことが明らかになっているとのことです。